2013年2月24日 日曜日
会社と政治献金
会社による政治資金の寄付と取締役の対会社責任
会社が特定の政党に政治献金をすることは、広く行われていることである。
では、かかる政治献金について会社法上いかなる問題があるだろうか。
そもそも、かかる政治献金を行うこと自体が適法か(法的な可否)という問題がある。
具体的には、会社が政治献金を行うことが公序良俗違反に該当するか否か、また、定款に記載された会社の目的の範囲外の行為に該当するか否か、といったことが問題とされてきている。
仮に、会社による政治献金の適法性が否定された場合には、政治献金を行った取締役は会社に対し損害賠償責任を負うことになるであろう(会社法423条参照)。
もっとも、適法な政治献金であると認められた場合においても、会社が政治献金を行えるのは、あくまで合理的な範囲である。この合理的範囲を越えて政治献金を行った場合、政治献金を行った取締役は忠実義務違反ないし善管注意義務違反として会社に対して損害賠償責任を負いうることになる。
政治献金が、会社や株主の利益に直接的に資することのないものである以上、政治献金を行うにあたっては、通常の業務にかかる経営判断に比して、より慎重な判断が求められると考えられる。
合理的な範囲か否かについては、会社の規模、経営実績その他社会的経済的地位および寄付の相手方など諸般の事情を考慮して判断されることから、経営状態が悪化している会社などについては、政治献金を行うにあたって、より高度の慎重さが求められるであろう。
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